2022年11月2日東京都渋谷区の探偵事務所の経営者と従業員など3人が準詐欺の疑いで警視庁に逮捕されました。
数年前から「電磁波攻撃の被害を受けた」とか「携帯電話がハッキングされている」などと相談に来た依頼者が精神疾患で十分な判断能力がないことにつけ込み、調査料名目で現金をだまし取った準詐欺の疑いが持たれています。
容疑者らは「調査の結果、若干高めの電磁波の数値が出ているので犯人を特定しよう」などと言って、次々に調査の契約を結ばせていた疑いがあるということです。
それに味を占めたのか、同探偵事務所はホームページを改装して「電磁波対策」「集団ストーカー解決」などを専門にうたって集客し、同様の手口で約1億3000万円を売り上げていたとみられています。
この探偵事務所の所在地は、渋谷区神宮の雑居ビルですが、看板もなく、ちゃんと事務所として機能していたかも怪しいようです。
「電磁波が出ている…」 探偵が精神疾患者を騙して逮捕
「誇大広告が当たり前」の探偵ビジネスの闇
ネットニュースにこんなタイトルの記事もありました。同じ探偵業者として、大変残念で悔しいことです。
いつまでたっても探偵業界のイメージは、変わらないものなのでしょうか。
この逮捕された探偵事務所はインターネット上では「あなたの街の探偵社」として、東京の探偵数社とグループ化した「口コミ情報」広告を多数発信していたようです。
探偵業者のホームページ上での美辞麗句には十分な注意が必要です。
見えない電波を利用し、依頼人様の不安感を煽り、余分な調査依頼を請けようとする愚かな探偵の悪徳商法です。
今、話題になっている霊感商法と似たような手口ですね。
国会では、宗教法人法や消費者契約法の改正が議論になっています。
行為能力者が納得した寄付(金銭の交付)であっても非常識(非科学的・対価が不明)な高額案件に対しては、本人以外からも取り戻しが出来るようになったり、時効期間を倍にしたり、検討中だと聞きます。
とても複雑な改正案のようですから、あせらず慎重に分かりやすい法律を作ってもらいたいと思います。
私たち探偵業者が、「消費者契約法」とセットで考えなければいけない法律が「特定商取引法」です。
特定商取引法は2008年改正され、探偵業務契約も該当するようになりました。
探偵事務所か取引する意思を持って自分から業者を自宅に呼び寄せた場合の依頼人様宅以外で締結した探偵調査委任契約では、契約後8日間は、調査に着手できない矛盾が生じています。
このことは、探偵調査業界を代表して(一社)日本調査業協会が2009年に管轄官庁へ要望書を提出していますが、なしのつぶてのようです。
大きな社会問題が起こってから、世論に押されて泥縄式に法律を改正するのではなく、平時からいろいろな業界からの矛盾を吸い上げて法律を整備していただきたいものです。